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パラサイト 半地下の家族|あらすじとネタバレ。韓国の格差社会に潜む闇と衝撃のラスト


韓国映画として日本でも大注目された『パラサイト 半地下の家族』。

カンヌ映画祭パルムドール受賞という華やかな栄冠を引っ提げて、第92回アメリカアカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門をアジア映画ましてや外国語映画初で獲得して世界から絶賛された『パラサイト 半地下の家族』です。

原題は「기생충(キセンチュン)」で多少日本語にも似てますが「寄生虫=パラサイト」というそのままの意味です。

半地下で暮らす無職の4人家族が高台の家に住む金持ちのパク家に寄生するところから物語は始まります。

この『パラサイト 半地下の家族』では不衛生なアパートの半地下に暮らすしかない貧乏な家族と、同じ4人家族でも高台の豪邸に暮らす裕福さの対比が様々なシーンに詰め込まれています。

韓国ならではの格差社会の風刺のようなブラックユーモアが込められた、現代の闇を感じることができます。

半地下が一般的でないにしろ、別の国の話としてではなく日本も格差社会の国ですので、同じ目線から観ることができるかと思います。

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この記事は2020年7月24日の配信状況によります。最新の配信状況については各配信サイトで確認してくださいね。

『パラサイト 半地下の家族』 あらすじ

半地下という貧困層のアパートに住むキム一家父キム・ギテク(ソン・ガンホ)母チュンスク(チャン・ヘジン)息子ギウ(チェ・ウシク)娘ギジョン(パク・ソダム)の4人家族は無職で内職のピザの箱を形作っては糊口をしのいでいます。

働き口を探す家族の元にギウの友人のミニョク(パク・ソジュン)が祖父からと”山水景石(幸運をもたらす石)”らしき水石(観賞用の石)を持ってきます。

有名大学に通うミニョクは留学する自分の代わりに家庭教師をしないかとギウに持ち掛けます。

この話をミニョクがした理由が教え子の女子高生が大学に入学したら付き合うつもりなので、安全な(ここでは身分的に格差があるという意味もあると思います)ギウにお願いしたいと言うことでした。

最初は戸惑っているものの、家庭教師の収入の良さに惹かれて妹ギジョンが作った偽物のソウル大学の学生証を手に高台にある豪華な建築物のパク家を訪れます。

これからパク家へのキム一家の寄生生活が幕開けします。

①英語の家庭教師としてヨンギョ(チョ・ヨジョン)ダヘ(チョン・ジソ)に気に入られたギウは、弟のダソン(チョン・ヒョンジュン)の奇妙な絵を見て自分の知り合いのイリノイでも有名な美術教師を紹介すると夫人に約束します。

イリノイで有名だった美術教師ジェシカとして偽名を装った妹ギジョンがパク家でダソンの描いた絵から精神的な異常を見つけ(絵画療法のネットから得た知識を披露しただけ)、ヨンギョから信頼されます。

そこで、自宅まで送るとしつこい運転手がいたため、こっそりパンティを脱いで車に仕掛けをします。

それを見つけた家主のドンイク(イ・ソンギュン)カーセックスやドラッグを疑って運転手を解雇させるよう妻に言い、自称ジェシカは「伯父の運転手だった」と父ギテクを推薦します。


③運転手となったギテクは、キム一家全員で家政婦のムングァン(イ・ジョンウン)桃アレルギーを結核患者に仕立て上げて辞めさせ、その後の家政婦として会員制と偽った斡旋所を紹介します。

ギジョンが斡旋所のふりをして電話応対し、母チュンスクをパク家の家政婦にします。

キム家全員パク家から給料を貰うことになりますが、4人は決して家族と知られてはなりません。

4人それぞれが自分の役割を全うし、パク一家から厚い信頼を受けるようになり、キム家はまんまと寄生することに成功します。

ギウは家族全員の職探しが成功したことを水石のおかげだと石に感謝すら抱きます。

毎年ダソンの誕生日は他所で過ごすので、パク家がいない間家政婦として家の管理を任されたチュンスクの企てにより、キム一家はこの豪邸でさも自宅のように自由奔放に家のお酒も飲みながら過ごします。

皆がいい感じに酔って、ギウはダヘと両想いで彼女が大学生となれば付き合う(ミニョクから奪ってやった感が強いですね)という発言から、この豪邸を自分の家だという妄想にとりつかれていきます。

そんな時雷が鳴り響いたあとインターホンがしつこく鳴り、前の家政婦ムングァンがやってきます

台所の地下に忘れ物をしたと言い張り、無理やり豪邸に押し掛けたところからキム一家の寄生生活は破滅へと走り出します


『パラサイト 半地下の家族』 キャスト

※監督:ポン・ジュノ
代表作:グエムル~漢江の怪物~、スノーピアサー

キャスト 役名
役柄
その他出演作
ソン・ガンホ キム・ギテク
キム家の父親、無職。
グエムルー江漢の怪物ー
チャン・ヘジン キム・チュンスク
キム家の母親、無職。
元砲丸投げのメダリスト。
クリスマスに雪が降れば
チェ・ウシク キム・ギウ
キム家の息子、大学受験に4度失敗。
新感染ファイナルエクスプレス
パク・ソダム キム・ギジョン
キム家の娘、器用な才能を持つも、貧乏なために美術予備校へも通えない。
シンデレラと4人の騎士
イ・ソンギュン パク・ドンイク
パク家の父親、裕福なIT企業のCEO。
王様の事件手帖
チョ・ヨジョン パク・ヨンギョ
パク家の母親、若く美しい妻だが、世間知らず。
ロマンスが必要
チョン・ジソ パク・ダヘ
パク家の高校2年の娘、家庭教師になったギウに好意。
W~僕と君の世界~
チョン・ヒョンジュン パク・ダソン
パク家の息子、落ち着きがなく行動が奇抜。
七日の王妃
イ・ジョンウン ムングァン
パク家の家政婦、パク家の建物を建てた住人からの家政婦。
タクシー運転手~約束は海を越えて~

『パラサイト 半地下の家族』 ネタバレ

ここからはネタバレがありますので、未視聴の方は注意してください。

もう一人の寄生虫

元家政婦ムングァンが現れ、チュンスク以外の3人は彼女に見つからないように隠れます。

台所の地下に入ってなかなか出てこないムングァンにしびれを切らせた一家を代表してチュンスクは地下に下りていくと、そこには壁と食器棚の間で突っ張り棒のようになっている元家政婦の姿が…。

驚くチュンスクですが、ムングァンは一緒に食器棚を移動させるように命令し、何とか食器棚を移動させると、そこには更に地下への階段が口を開けています。

地下室にまだ地下があることに唖然とするチュンスクですが、慌ててムングァンを追いかけ、後を追うようにこっそりとキム家の3人も地下へ降りて行きます。

そこにはなんとムングァンの夫オ・グンセ(パク・ミョンフン)が彼女がクビになって去ってから暫く食事さえも摂らずに衰弱している姿があります。

ムングァンは夫にミルクやバナナを与えながらチュンスクに「姉さん」と呼び掛け、僅かばかりのお金を差し出して、どこへ逃げても追いかけてくる借金取りから助けるために夫をここに置いて食事を運んで欲しいと懇願します。

しかし、チュンスクは警察へ連絡すると頑なで、ムングァンとチュンスクの言い合いは続きます。


階段に隠れてこの様子を見ていたキム家の3人ですが、バランスを崩して倒れ込んでしまいます。
咄嗟にギウが「父さん」などとギテクを呼んだものですから、突如弱者だったムングァンの形勢は逆転します。

3人の様子を携帯電話で撮影して、パク家に報告すると言われ、キム家の4人はしおしおとしなだれます。

家のリビングでお仕置きとして家族全員を正座させて両手を上に挙げさせたまま(これは基本的に学生の受ける罰で、大人としては土下座より辛く屈辱的です)、ムングァンはパク家も知らない地下のことを話します。

最初にこの家を建てた建築家のナムグン先生から家政婦として勤め、パク家がこの建物を購入した時にパリに移住を決めた先生に頼んで家政婦をこの家で続けられるように便宜を図ってもらいます。

そして、建物の主がパク・ドンイクに変わる前に地下室にグンセを呼び込み、そこで夫のみ暮らすようになります。

キム一家は半地下という安アパート住まいですが、富裕層では北朝鮮からの核攻撃のために地下深くにシェルターのようにもう一つの住まいを構えると語ります。

借金取りに追われるグンセを匿うためにはもってこいの場所でした……自分が追い出されるという想定外の出来事以外は。

深夜の帰宅

急に固定電話が鳴りだし、慌ててチュンスクが取るとキャンプに行ったパク一家が酷い豪雨のせいでテントも張ることができず、あともう少しで帰宅するのでチャパグリ(後述します)に冷蔵庫の韓国牛(ここではサーロイン牛が出てきました)を入れて作って欲しいと言われます。

慌てるキム家の4人とムングァンとグンセ

ひとまずギジョンは自分たちの飲み食いした残骸を大雑把に片付けるとリビングのテーブル下に潜り込みチャンスクは作ったことのないチャパグリを作り出します。

他はダヘのベッドへ隠れるギウギテクはムングァンとグンセを引き摺り込んで足を縛り地下へと舞い戻ります。

一家が帰ってくると、ドンイクの動きに合わせて階段の明りのセンサーに続く地下にあるスイッチををグンセが頭突きで付けています。

毎日こんなことをしているのかとギテクが呆れていると、「パク社長リスペクト!!」と叫ぶグンセ。
グンセは自分が地下に棲みついているため、建物の主を尊敬してセンサーの代わりに明りを灯していたのです。


そして、グンセがセンサー代わりになるにはもう一つ目的があったのです━━ダソンがカブスカウトに入っているため、モールス信号の意味が分かるであろうという期待が━━

そんな説明をするグンセをギテクはテープでぐるぐる巻きにして、地下の柱に括りつけます。

キッチンで慣れないながらもチャパグリを作ったチュンスクは、奥様のヨンギョを招き入れようとし、地下から出てこようとしたムングァンを蹴り飛ばし、そのまま元家政婦は回転しながら階段を下に落ちて行きます。

階段で頭から血を流したムングァンを発見したギテクは彼女に息があることを確認すると彼女もテープで巻き簾のようにしてしまい、二人に猿轡をした後地下室まで上がり、地下から食器棚を動かすノブを外してしまいます。

夜が更けてパク一家が寝静まるのを待って脱出しようとするチュンスク以外の3人ですが、出て行こうとした矢先キャンプができなかったため、イライラの消化不良を起こしたダソンがお得意の奇抜な行動に走り出して庭にテントを張るとわがままを言いだします。

出て行くチャンスをダソンによって邪魔された3人はギジョンがいたテーブルの下に潜り込みます

仕方なくリビングから夫婦で庭のダソンを見守りながら、二人っきりだと信じて疑わない(そりゃそうだ!)ドンイクはキム運転手(ギテク)の体臭について「満員電車の中の客」「切り干し大根のよう」「煮干した布巾」という悪口をヨンギョに語りながら、お互いに体を求め合いだします。


自分が社長にそう思われていたと知ったギテクはテーブルの下でショックを受け、ドンイクに悔しい思いを抱きます━━すべては貧乏で半地下に住むしかない境遇を呪って━━

何とか高台の家から抜け出せた3人は激しい雨に叩かれながら、早く半地下の部屋に帰って風呂に入ろうと希望を持ちます。
しかし、アパートまで帰り着くと豪雨で下水があふれ出し、半地下の部屋は水没状態直前です。

下水の中を駆けずり回り、家の中にある大事なものをまとめてなんとか避難所へと逃げた3人。

悲劇の誕生日パーティー

ヨンギョはダソンの誕生日キャンプが豪雨で祝えなかったため、翌日知り合いを招いて盛大な誕生日パーティーの開催を考えていました。

次々に知人に電話をして「プレゼントはいらないわ」と言いながら、休日にも関わらずギテクを運転手として呼び出し、パーティーの買い物の運転と荷物持ちをさせます。

ギジョンもダソンの先生だと招かれ、それを聞いていたダヘは自分の家庭教師も誘うようにと母にお願いして成功します。

避難所の体育館で一夜を明かした3人の元にこの連絡が入りますが、這う這うの体で半地下から必要なものだけを持ってきたキム一家は着るものもなく途方に暮れてしまいます。

しかし、そこは半地下に住む家族だとパク家の人々に悟られないように何とか富裕層のパーティーに出てもおかしくない服装を用意します。

ずっと運転と荷物持ちをしていたギテクはヨンギョが夫から聞いた話で臭覚過敏になり、後部座席で鼻を覆い窓を開ける姿を見て、自分の体臭が気になります

ギジョンはパーティ用のワンピースで高台の家を訪れ、チュンスクと地下の夫婦のこれからを心配してパーティの食べ物を地下へ運ぼうとしたところを呼び止められ、ダソンにケーキを渡す役目を仰せつかります。

ギウはパーティが始まる前にダヘの部屋で仲睦まじく二人一緒にいましたが、階下に見下ろす自分と違って裕福な人々の集まりを見て場違いだと察知して、地下へ降りることを決意します━━ミニョクから貰った水石を持って━━。


しかし、地下室から地下へ降りる階段で石を落としてしまい、その石はグンセの持ち物となってしまいます

地下から石を持って上がってきたグンセはそれでギウの頭を殴り、とどめとばかりに石を彼の頭に叩きつけ、台所には彼の頭から出る大きな血溜まりが・・・

そのまま台所から包丁を持ち出して庭へと向かうグンセ。

その頃パーティは盛り上がり、ドンイクはギテクと共にインディアンの恰好で木立に隠れてヨンギョから言われた演出をするために待機していました。

思わず、奥様の言うことに従うドンイクに要らない一言を言ってしまったギテクは彼から「今日は勤務日ですよね。これも仕事の延長だと思ってください」と休日出勤を無理強いされたのにいさめられ、「体臭」から気を悪くしていただけにますます雇い主へ反感を抱きます。

ギジョンが”ジェシカ先生”としてケーキを持って現れ、パーティーもクライマックスを迎えたその時です。

ドンイクとギテクの扮したインディアンではなく、包丁を手にした顔面血塗れのグンセが庭へ出てきます

皆の注意は頭から血を流したグンセにくぎ付けです。

グンセは庭の真ん中にケーキを持って立っているギジョンの胸を持っていた包丁で刺し貫き、それを見たダソンは数年前の幽霊を見たという悪夢がフラッシュバックして気絶してしまいます。

一瞬にしてパーティー会場は阿鼻叫喚の嵐となってしまいます。

娘を刺されたギテクは無我夢中に叫びながらギジョンの胸から出る血を押さえますが、娘は「押すと痛いよ」と血に染まりながら半分笑っています。

グンセがまだ包丁を握っているのを知ると、野菜や肉のついたままのバーベキュー串を包丁で刺されながらも娘の仇とばかりに彼に刺すチャンスク

その時、頭から血を流して運ばれるギウの姿がギテクの視界に入ります。

大事な子ども2人の瀕死の状態を見たギテクは、失神しただけのダソンを病院に運ぶ為に車の鍵を渡せと言ったパク一家にますます嫌悪感を抱きます。

投げた車のキーがグンセの死体の下にあり、そこから拾い上げ、ドンイクが鼻を摘んだ瞬間を見た時に、ギテクの反発感が爆発します。

息のないグンセが持っていた包丁をドンイクの胸に深く突き立て、その場を去って行きます

凄惨な事件現場となったパク家はこの豪邸を去り、そこは次に買い手を求めるただの高台の豪邸が残りました。


地下深くに住む男

ギウは奇跡的に一命をとりとめ、脳手術の成功の末にチュンスクと一緒に”私文書偽造、住居侵入、傷害致死”の罪で裁判にかけられますが、正当防衛が認められて”執行猶予”だけの罰を受け入れます。

誕生日パーティーで大量出血したギジョンはそのまま亡くなってしまい、ギウが出会えたのは骨壺に入った妹の姿でした。

チュンスクもギウも依然として屋敷から姿を消したギテクが今どこでどうしているのか分からないままですが、それでも警察は二人を尾行して父親が家族に会うことを監視しています。

ある日ギウは山に登り、あの高台の屋敷を眺めているとセンサーライトが誰もいないのに奇妙な点滅を繰り返していることに気付きます
その明りは二種類あり、まるでモールス信号のようだと思い至ったギウはその点滅を解読していきます。

父ギテクは高台の屋敷の地下深くで1人で暮らしていて、ムングァンが亡くなるのを見届けると庭にこっそりと樹木葬として埋葬もしていました。

暫くは家の買い手はつかず缶詰などで飢えをしのいでいましたが、新しい家主は事情を知らずにこの家を言われるままに買ったドイツ人でした。

ギテクは24時間ずっといる家政婦の目を盗みながら、夜な夜な冷蔵庫を漁っては食料を調達し「ドイツ人だからと言ってソーセージ以外の食料があって良かった」と少し笑わせようとします。

ずっとあの家の地下深くに住む父を救うために、ギウは金持ちになってあの家を買うことを誓います

いつしか母と自分とであの家の庭に立ち、ここが自分たちの家だと言って地下から父を導き出す場面を思い浮かべますが、ギウは半地下で膝を抱えて未来の妄想を抱いているだけです…いつかそんな未来が来ると信じて…。


『パラサイト 半地下の家族』感想とまとめ


まず最初にこの『パラサイト 半地下の家族』を観て感じたことは、この映画は海外で上映されることを確実に視野に入れて制作されたのだということです。

その理由は韓国では女性は結婚しても姓が変わらず、一家の中で1人だけ別の名字なのが一般的ですが、他国で違和感の説明が要らないようにキム家もパク家も母親の姓を一緒にさせたのではないでしょうか。

そして、誰もが言うように、途中までは笑いまくります。

特に私はパク一家がキャンプに出た後、キム家の家族4人団欒の夕暮れの庭で砲丸を振り回して投げる母チュンスクの姿に一番笑ってしまいました。

低賃金層の暮らしも面白く観せてくれます。

悲哀の中でも家族としての絆を感じさせてくれるからこその笑いです。

この『パラサイト 半地下の家族』では、様々な隠喩さながらに貧困層と富裕層の格差を描き出しています。
・ミニョクがキム家に持ってきた半地下の部屋には不似合いな観賞用の水石。
・他人だと偽りながらも幼いダソンが運転手と家政婦とジェシカ先生の「匂い」が同じだと感じ取ったり。
・仲の良いキム兄妹とは反対に、ダヘは弟を嫌悪することも貧困と裕福の違いに見せようとしています。

前半は笑いありですが、後半にかけてはホラーありミステリーありの盛りだくさんの内容になっています。

ラストはまさに予想外で、まさかの展開でした。

衝撃のラストへの始まりに思えたのが、ギジョンが間欠泉のように沸き上がる下水にものともせず、便座の上に座りたばこを吸うシーンです。

この時からギジョンの正気が失われていたように思えて仕方ありません。

私はダソンが怯えたグンセの幽霊よりも、このシーンからギジョンが怖くなっていきました。

そして、誕生日パーティーでの刺されて止血の為に父や母から傷口を押さえた時に半笑いだったギジョンが一番ホラーでした。

まるで自分の運命を知っているように、生に何のためらいもなく見えたのです。

ギジョンは昨日の下水まみれの半地下の生活がほとほと嫌になっていて、生まれ変わって富裕層に生まれ変わりたいという希望だけを持っていたように思えて、死ぬことにためらいを感じなくなっていたのかもしれません。

何と言っても日本で話題になった「チャパグリ(字幕ではジャージャーラーメンとありますが)」の登場シーンは外せません。

この「チャパグリ」とは辛ラーメンで知られる農心の「チャパゲティ」と「ノグリラーメン」のインスタント袋ラーメンを組み合わせた料理です。

この映画では庶民の味である「チャパグリ」を裕福なパク一家が高級な韓国牛を入れさせて家政婦に作らせることで、貧富の格差を視聴者に印象付ける効果を生み出しています。

近くに韓国食材の店がなくても、今の時代は通信販売などで簡単にこの二種類のインスタントラーメンを手に入れることができるので、『パラサイト 半地下の家族』の富裕層の気分になってステーキ肉を入れて食べてみるのも良いですよ。

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